人生の節目にキャリアコンサルタント

「ライフシフト」時代のセルフ・キャリアドック

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「ライフシフト」時代のセルフ・キャリアドック

『ライフシフト』を読んだことが起業の一因となった私にとって、これからのマルチステージライフに思いを馳せることは当然のことといえます。
これまでのスリーステージライフの時代を何の疑いもなく50歳まで生きてきましたが、リストラで退社が決まったとき、「これから自分の人生は自分で決めなさい」と突然、宣言されたようでした。それは予期していない転機でしたが、最初の1.5カ月はどうしても後ろ向きにしか捉えることができませんでした。幸い私の場合は、元上司や同僚、友人たちが支え励ましてくれたおかげで、現状を前向きに捉え直し、再就職ができました。キャリアコンサルタントとして勤務している今となっては、もっと早くから「自分の人生は自分で決める(キャリア自律)」という意識を持っていたら・・・と後悔したことは何度もあります。
しかし、長く1社で働いている方の場合、人事や上司が異動を決めるケースが多く、学ぶことの範囲も業務に関連したことが主になります。その場合、余程意識が高くない限り自分の将来を広い視野でとらえ直すことは難しくなります。ある意味、情熱を持って取り組める仕事や事業があることは幸せなことです。しかし、それには前提条件があります。その仕事や事業が継続すること。イノベーション、グローバル化、M&A、少子高齢社会など、これからの時代は単純ではありません。
環境がある日、突然、様変わりして会社や事業部、または仕事そのものがなくなるかもしれません。そのときに慌てるのではなく、事前に、自発的に、定期的に自分の人生と向き合う、それが「セルフ・キャリアドック」だと私は考えています。その尺度はその時期、そのとき人それぞれです。「自分らしさ」「夢」「資源」「生活環境」「社会とのつながり」などを見つめ直すときにキャリアコンサルタントがお手伝いをしていきます。その方が一人で向き合うよりも効果的だからです。専門家とのダイナミックな場の中で自分と向き合い、何かに気づき、行動を変えていくことが、「ライフシフト」の時代に求められています。