人生の節目にキャリアコンサルタント

転機 ⑦ 社会人生活スタート

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転機 ⑦ 社会人生活スタート

4月に安藤電気株式会社に入社して新人研修や工場実習後に、電通営業部という日本電信電話公社(現在のNTT)や官公庁関係の営業部署に配属となりました。

当時はPCやコピー機もなく、注文書や契約書はタイプや手書きの時代。私は1日中、書類に向き合い一生懸命ボールペンで書きましたが、私が帰った後で主任や先輩方で、この文字でお客様に提出すべきか激論が戦わされたと伺いました。その後しばらくして手書きの作業よりも電話番を仰せつかりました。日本中の電話局などからかかってくる電話を受けるのですが、最初の頃は、3度聞き直しても聞き取れず、先輩にバトンタッチしていました。その電話対応も徐々に慣れてきた頃、「ちょっとお待ちください、ではなく少々お待ちください」と言うよう指導が入りました。気を付けているのですが、電話は咄嗟に対応するためどうしても「ちょっと」と言ってしまいます。何とか間違いまいと工夫をしましたが、3カ月くらい経った頃、自然と「少々」と言えるようになっていました。意識よりも周りの方の応対を聴いていて身についたのだと思います。

お客様に会い、歩き回り、営業としての視点も活動量とともに高くなっていきました。点でしかなかった一つひとつの仕事がつながり、複数の流れが見えてきた頃、仕事が面白くなってきて没頭していきました。仕事中心の生活がその頃から始まりました。往復の電車の中で幅広く事業を知ろうと次々と本を読みました。新しいことに敏感な方でした。私が仕事を楽しいと思え、失敗しても引きずらずに前進し続けられた理由は、上司や先輩に恵まれたことをおいて他に理由を見つけられません。職場のフォローが新人を育て、一人前の社会人に育っていくのだと私は考えます。

さらに、多くのお客様にも育てられたと感謝しています。今でも大手町、日比谷、新橋、横須賀、つくば、東海村など仕事で行った場所の近くに行くとお世話になったお客様のことを思い出します。そう思えるということは、社会全体が人を育てる力を持っていると思えてきます。いい時だけではなく、厳しいとき、辛いときもありましたが、修羅場を乗り越え、潜り抜けてこそ身につくことがあります。どんなときでも、常に人や組織のサポートがあったことに感謝しています。

今のキャリアコンサルタントの仕事は、私を社会人として育てていただいた社会への恩返しにぴったりの仕事だと使命感と先輩たちのような温か味を持って臨んでいます。